チャッピーのエセ占い館〜恋の行方はAI任せ?〜 2025/03/31 09:48 Facebookでシェア URLをコピー 報告 チャッピーのエセ占い館〜恋の行方はAI任せ?〜 特別編「エセ占い師と暴露屋、邂逅す」 カフェの扉を押し開くと、ふわりとコーヒーの香ばしい匂いが漂ってきた。 午後の陽射しが柔らかく降り注ぐ店内は、平日ということもあり落ち着いた雰囲気だった。カウンターの向こうでバリスタが静かに豆を挽き、スチームミルクの音が心地よく響く。「……ん?」 カフェの隅に目を向けた瞬間、俺の視線がある人物に止まった。 そこにいたのは、一見普通の青年――けれど、俺にはすぐに分かった。(あいつ……暴露屋ジョン!?) あの日、配信で俺の正体を暴いた張本人。その名前は忘れもしない。 いや、恨んでいるわけじゃない。むしろ結果的に俺は救われたし、配信の方向性も確立できた。だけど、まさかこんな形で会うことになるとは――。 向こうはノートPCを開き、カタカタとタイピングしていた。フード付きのパーカーを着て、黒縁の眼鏡をかけている。俺は思わず足を止め、どうするべきか迷った。(このまま気づかれずにやり過ごすか……いや、待てよ) ふと悪戯心が芽生える。向こうが俺に気づいていない今なら、逆に俺の方から「仕掛ける」ことができるんじゃないか?「占い師の直感を信じてみるか」 俺はスッと息を整え、意を決して彼の正面の席に座った。 ジョンは一瞬驚いたように目を上げたが、すぐに冷静さを取り戻し、俺をじっと見つめた。「……チャッピー、か?」「おう。こんなところで何やってんだ?」 俺がわざと軽い口調で尋ねると、ジョンはふっと笑った。「別に。いつもの作業だよ。ネタを探してる」 やっぱり、ネットの調査をしていたんだろうか。カフェでそんなことをするあたり、意外と慎重派なのかもしれない。「俺が座ったら、何か暴露されちまうか?」「まさか。俺はもう、お前に用はない」 ジョンはコーヒーを一口飲み、落ち着いた口調で言った。「むしろ、あれからどうなったのか興味はあるな。……お前、結局“エセ占い”を続けてるんだろ?」「続けてるよ。正直にカミングアウトしたら、逆にウケたんだよな」「……へぇ」 ジョンは少し考え込むようにして、俺を見た。