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《オムレツ・オラクル》第3章・オムレツと偽物の未来

《オムレツ・オラクル》第3章・オムレツと偽物の未来

「おいしい!」

ある日、店に訪れたのはスーツ姿の男性。
彼の名はカイン。

「この店、すごい噂になってるんですよ。オムレツで未来がわかるなんて、まるで魔法みたいだ。」

彼は笑いながらオムレツを食べる。

「さあ、俺の未来は?」

アレクはじっとオムレツの表面を見つめた。
だが、そこには何も浮かび上がらない。

——未来が、見えない。

「……おかしいな。」

アレクは首をかしげた。これまでどんな客のオムレツにも何かしらの未来が映し出されてきたのに。

「アレクさん? 何か変ですか?」

カインはにこやかに尋ねるが、アレクはすぐに気づいた。

この男、嘘をついている。

「君、今、何か隠しているね?」

カインの笑顔がわずかに強張る。

「……さすがですね、占い師ってのは。」

彼はポケットから一枚のカードを取り出した。

『愚者』

「俺の占いの師匠は言ってたんですよ。『本当の未来は、占いに頼らない者にしか訪れない』ってね。」

アレクは彼を見据える。

「君は占いを信じていないのか?」

「いいや、信じてますよ。ただ……」

カインは微笑んだ。

「自分で未来を変えられない人間が、占いにすがるのもどうかと思うんですよね。」

そう言い残し、彼は店を去った。

アレクは静かにタロットカードをめくる。
そこに出たのは『月』のカード——疑念と欺瞞を意味するカードだった。

彼は、本当に未来を信じていないのか? それとも——?

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