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《星空カフェ》第3.5章

《星空カフェ》第3.5章

「紬さん。」

「はい?」

「星が見えなくても、星はちゃんとそこにあるんですよ。」

紬は驚いたように陽翔を見た。

「昔、誰かが言ってたんです。曇り空の向こうには、変わらず星が輝いてるって。」

その言葉に、紬の目が少し揺れる。

「……そうですね。」

紬は、ふっと微笑んだ。
そして、皆に向かって声をかけた。

「みなさん、今日は星が見えなくて残念かもしれません。でも…星は、雲の向こうでちゃんと輝いています。」

紬の声に、人々はゆっくりと空を見上げた。
雲に覆われた夜空。それでも、どこか温かい気持ちが広がっていく。

「だから、お願いがあります。みんなで目を閉じて、一緒に星を思い浮かべませんか?」

子どもたちも、大人たちも、陽翔も目を閉じた。
静かな広場に、ランタンの灯りだけが揺れている。

――見えなくても、そこにある。
紬の胸の中にも、兄・湊の言葉がよみがえっていた。

イベントが終わった後、陽翔と紬は片付けをしていた。

「今日は…ありがとう。」

紬がぽつりと呟いた。

「僕は何もしてませんよ。紬さんが言葉を届けたんです。」

「ううん。陽翔さんがいたから、前を向けた気がします。」

その言葉に、陽翔は照れたように笑った。
けれど、心の奥がほんのりと温かくなった。

その時、ふと空を見上げると、雲の切れ間から一筋の星が顔を出していた。

「……見えましたね。」

「え?」

紬も空を見上げた。
たったひとつの星が、夜空に静かに瞬いていた。

「星は、ちゃんとそこにある。」

二人は静かに夜空を見つめた。
曇り空の向こうにある光が、二人の心をそっと照らしていた。

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